これは最近起きたほぼノンフィクションなお話です…。
父の付き添いで親実家に遊びに行きました。
といっても車で10分のところなのでただのドライブです。
田舎から更に山奥のコンビニすらない村にだだっ広い土地と無駄に大きな家に着きました。
おじいちゃんはタバコを吸いながらソファーでくつろぎ、仕事帰りのおじさん(お父さんの兄弟)は急用で届け物を届けに行くと言うので、私はまた付き添いということでドライブを楽しみました。
短いドライブも終わり、おじさんが夕ご飯を食べにリビングに向かったので着いていくと、ふりかけやお惣菜のお皿の間に一つだけ小さな小包が置いてありました。
するとおじさんが
「おっ！あべかわ餅じゃん！これうめーんだぜ、食うか？」
と言ってきたのですが、練り物とあんこがあまり好きじゃない私は断りました。
「餡子じゃないよ、わらび餅見たいなやつさ」
と言うので渋々包み紙を空けてみると、中からきな粉でおおわれた小さな餅が出てきました。
おまけに黒蜜も付いていました。
大きさは3×1cm程の長方形。
本当にわらび餅っぽい見た目をしています。
黒蜜をかけて串で食べてみると、もにゅっとした食感とじわじわと感じる餅の甘み、そしてわらび餅のような風味を味わえました。
包み紙の中にはもう2切れ入っていたのでそれもほおばりました。
本当にわらび餅みたいな味で驚き、もう一つ無いのか聞いた所、無いと言われたのでガッカリしました。
……………………………………………
しかし、私のあべかわ餅への関心はその後恐怖へと変わることになるのでした。
家に帰ると机の上に大きなあべかわ餅が置いてありました。
貰ったのか買ってきたのかは今では覚えていませんが、あべかわ餅は確かにそこにあったのです。
大きさは先程のあべかわ餅よりも10倍ほど大きかったと思います。（10×3cmくらい？）
きな粉と黒蜜をたっぷりかけて頂きました。
さすがにこんなに大きなあべかわ餅を食べるとお腹が脹れました。
「もうお腹いっぱい、あべかわ餅はもういいかな…」
まさか夢がその日のうちに叶うなんて、私はなんて幸せなんだ。
そう思った1日でした。
……………………………………………
翌日、仕事や用事を終えて家に帰ると、机の上にプラスチックのパックの中に巨大なあべかわ餅が置いてありました。
しかも4つ
やばい、もうやばい。
見るだけで胃もたれしそうです。
とりあえずお腹がすいたら食べよう。
そう決めて放置し、7時頃小腹がすいたのできな粉をかけたのですが…
ぶわっと舞ったきな粉は全てのあべかわ餅にかかり、焦った私は仕方が無いと黒蜜を全部にかけたのでした。
失敗でした。
ナマモノだからすぐに食べないと傷んでしまう！！
お残しにうるさいお母さんに叱られたくはありません。
おやつですら残す度に、「だったら食べるな｣だとか「だから痩せ続けるんだ」と叱られてしまいます。
全く、厳しいです…
という事で早速1つ目を平らげ、お茶で流しながら2つ目も…
ぶふっ！
きな粉で口がいっぱいになりました。
かけすぎた上、お茶で固まってしまったのでふ……です。
半泣きで少しずつ咀嚼をし、やっとの思いで飲み込んだのですが、まだ2つのあべかわ餅が何食わぬ顔でこちらの様子を伺います。
これ以上食べると耳からあべかわ餅が出てきそうなので冷蔵庫に突っ込んでリタイアしてしまいました。
……………………………………………
朝起きた時に、何か言われると怖いので早速冷蔵庫を確認しましたが、あべかわ餅は姿を消していました。
昨日見たあべかわ餅は一体なんだったのか…
そう思った矢先、2階からお父さんが降りて来ました。
あべかわ餅は？
と尋ねたら、夜中に腹が減って全部食べてしまったそうです。
私は怒られずに済んで助かったのでした。
もうあべかわ餅は懲り懲りです。
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